今の日本では大学生の2~3人に1人という割合で奨学金という借金を背負わなければならない世の中になってしまいました。大学卒業、大学院修了時に多額借金を背負うことは厳しい門出になります。
この記事では、710万の奨学金を借りた自身(2017年卒)の経験をもとに奨学金返済で負担に感じていることをお伝えします。この記事では奨学金のマイナス面にフォーカスしますが、奨学金によって得られることも多いです。学費のために奨学金を借りているけど、なんとなく学生生活を送っている方に読んで頂ければ幸いです。
この記事はこんな方に読んでほしい
✔ 奨学金を借りているけど、気にせずなんとなく学生生活をおくっている
✔ 奨学金を借りているけど、いまいち返済の負担がイメージできない
✔ 奨学金を借りて、大学に行こうと考えている
いくら借金して、いくら返済するのか
ここでは一例として私自身が借りた奨学金をもとに返済状況をみていきます。
下の表は実際に借りた奨学金の種類と金額、返済額/月になります。
種類 | 借入総額/円 | 月返済額 /円 | 返済年数 | |
学部生 | 第一種 | 2,592,000 | 10,800 | 20 |
学部生 | 第二種 | 2,400,000 | 10,000 | 20 |
院生 | 第一種 | 2,112,000 | 12,571 | 14 |
総額として710.4万円を借り、繰り上げ返済をしなければ20年をかけて返済をしていくことになります。その時の月の返済額は3.3万円になります。
第二種に関しては金利の関係で月の返済額が700~1000円ほど追加になるかと思います。今回は金利計算は省略します。20年かけての返済の場合には、おそらく金利分だけでも20万ほどに膨れていくことなります。(それでも他の借金に比べたら奨学金の金利は小数点以下なので非常に低いです。)
大学院に行かなくても月2万の返済になります。実家暮らしの学生は特にイメージすることが厳しいかもしれませんが非常にダメージが大きいです。
私の場合には、学部時代の第二種は社会人1年目で完済したので利子は0円です。院卒時代の第一種は学会等の学業成績が認められ、半額にしてもらえました。今は月2.3万の返済を続けています。
月2~3万の固定費となる奨学金返済がどのように生活に影響するのか考えてみましょう。
月数万の返済の影響
月の返済額が2~3万と聞くと「なんとかなりそう!」と思うかもしれませんが、その金額によってどのような影響があるのか確認していきましょう。
住居の問題

住居費は誰にだって必要な固定費になります。誰しもがキレイで、駅から近くて、便利で買い物できる場所や遊べる場所が近くて、など多くの希望という名の理想を描いていることでしょう。
賃貸を探したことがあるひとは分かるかもしれませんが、2~3万円家賃が違うだけでグレードが変わるときがあります。築年数、間取り、安全性、立地、便利性など様々な条件でより良い物件を探して住むことができます。
いい部屋を見つけても「あと数万安ければ、、、」と思うこともしばしば起こりえることでしょう。
SUUMOで東京の家賃相場を見てい行きましょう
執筆時点(2021/6)での人気エリアランキング一位の港区の相場を見ると下の表のようになります。
ワンルーム | 1K/1DK | 1LDK/2K/2DK | 2LDK/3K/3DK | 3LDK/4K~ | |
マンション | 7.5 | 9.6 | 17.5 | 24.5 | 31.9 |
アパート | 5.7 | 7.8 | 15.7 | 22.7 | 30.1 |
さすがは港区という感じで家賃高いですね。家族が増えて広い部屋に住むとなるとあき夫婦の年収では厳しそうです。。。
マンションとアパートの明確な区別はないようですが、こちらのページが参考になります。
基本的には都心部の駅近で多く建設されているのはマンション区分のものが多いかと思います。アパートは駅から離れてぽつぽつといった感じでしょうか。
独身の場合ではワンルーム、1K、1DKを住まいとして検討されるかと思います。ワンルームでは手狭だな、と感じて 1K、1DK を狙うと相場としては2万の差があります。
奨学金+家賃で固定が10万を超えてまうことに耐えられるでしょうか。新卒の社会人の手取りは20万前後になるかと思います。社会人2年目になれば税金が引かれるので実質な手取りは20万を下回る方が大勢かもしれませんね。
手取りが20万のなかで 奨学金+家賃 だけで10万を占めるというのは、厳しいと思います。その他に生活費もありますから、生きていくことは出来るけど、将来のための貯金は出来ても数万といったところに落ち着きます。
固定費を下げるのは蓄財の基本です。家賃を下げるためには都心部から遠ざかり、駅から遠ざかり、部屋の間取りを小さく、築年数の古いものを検討していく必要があります。
どこまで住居条件を妥協できるかは人それぞれですが、奨学金の返済が心理的に賃貸探しに影響するのは免れないです。
ローン返済との合体
かなり厳しい局面を向けるのは奨学金と他のローンが組み合わさる時になります。
ローンの代表格としては自動車ローン、住宅ローンがありますね。これらのローンも借金という本質が変わらないのに大勢の人が疑問に思うことなく、利用しています。
奨学金+ローン返済は固定費の大幅増を意味しますので家計は必然的に厳しくなります。
都会であれば交通網が整っているので自動車は必要ないかもしれません。ですが車がどうしても必要なる場所での生活が予想される方は否応なしに車を購入することになります。
その時には一括で買えるような工夫が必要になります。
奨学金と同時に他のローンという借金は作らないようなライフプランを設計するようにしましょう。
投資への将来的な損失

株式投資のような資産運用を考えたことはありますでしょうか。
私は株式投資を中心とした資産運用を始めて3年になります。資産運用を始めると、この月2~3万の返済固定費はボディーブローのようにじわじわとダメージを受けている感覚になります。
株式投資を始めると、いろいろな投資手法を目にすることになります。その中でも初心者、プロ問わず王道は米国/全世界へのインデックス投資になります。
インデックス投資とは特定の会社に投資するのではなく国や世界全体、もしくはある特定の指標に投資することで、市場全体に分散投資することです。
米国市場にはS&P500という株式投資の中では最強に近い指数があります。株式投資ですから、〇〇ショックのような金融危機などの時にはその資産額は大きく減り、下手をすれば資産価値は半分になります。
様々な金融危機、バブルで何度も暴落に遭遇していますが、その度に復活し、 S&P500は長期間でみて年利8%ほどを達成しています。メガバンクの預金金利が0.001%なので雲泥の差です。
では、奨学金の返済で消えていく3万を毎月インデックス投資して年利5%で20年間運用したときの成績はどうなるでしょうか。楽天証券でシミュレーションしてみます。

3万円を20年積み立てればそれだけでも720万円と高額な金額になります。それに合わせて資産運用により1,233万(+513万)にまで膨らませることが期待できます。
これはあくまでもシミュレーションです。現実的にはきれな増加はせず、暴騰や暴落などを経てシミュレーション結果よりも大きくなる可能性もあれば小さくなる可能性もあります。
投資による将来的な結果は誰にも予測することは出来ませんが、奨学金の返済により、効率的な資産形成の可能性を潰している、ということは頭に入れておく費用があります。
旅行や趣味を我慢

奨学金の返済は年間を通せば2,30万になります。これだけまとまった金額があれば海外旅行にいけまうす。国内旅行なら数回はいけるでしょう。高級料理店にだって行けます。
人生の中で幸福感を感じるときは人それぞれではありますが、洋服、時計、グルメ、旅行、運動など娯楽は生きるうえで必要なものでしょう。自己投資で何かのスクールに通う選択だってあります。
人生を豊かにするために大学に行く。そのために奨学金を借りる必要がある。
そう考えているひとは今現在だけでなく将来的の可能性を考えてみましょう。将来、奨学金によって趣味など娯楽を我慢しなければならない可能性があります。
その時に後悔をすることがないように、なんとなく奨学金借りて学生生活を送っていいのか考えてみましょう。今の生活は将来の可能性を食い潰しながら出来ているだけなのですから。
最後に~奨学金を借りるなら将来を見据えて~
奨学金を借りなければ大学に行けない、そういう方は大勢います。この記事では奨学金を借りることで将来的に考えられるマイナス面を書いてまとめました。人によっては別の要素で足枷になるかもしれませんね。
奨学金を借りることは”悪いこと”だとか”危ないから奨学金借りるのやめて大学諦めたら?”などと言うつもりはありません。今の私がいるのは間違いなく、奨学金を借りて大学院まで進むことが出来たからです。
ここまで偉そうなことを言ってきましたが、今、大学生の自分に1分でも話すことが出来るのであれば「まじめに勉強してスキルを身に付けろ!」と説得するでしょう(笑)
院進学以降はまじめに学業に励みましたが、学部生の頃は無駄な時間が多かったと思います。その時間をもっと他の勉強に使えていれば、、、と考えてしまうことがあります。
将来、返済しなければならないお金を借りて大学に進学するのであれば「なんとなく過ごす」だけはしないでください。勉強、サークル活動など在学中ではなければ出来ないことがあります。
数百万という自己投資をどう活かすかはあなた次第です。
以上、ありがとうございました!!
コメント